目次
日本語教育とは
日本語を母語としない人へ、以下を教える
1)4技能 2)言語形式(文法)、語彙、談話 3)コミュニケーション(日常、ビジネス)4)日本文化、日本事情
外国人の受け入れ
- 留学生10万人計画(1983年) – 2003年達成
- 留学生30万人計画(2008年)
- 在留資格 「特定技能検定」が創設される。
今回の制度は深刻な人手不足の状況に対応するため、一定の専門性、技能を有し即戦力となる外国人を受け入れることが目的
特定技能とは
介護、ビルクリーニング、素形材産業(鋳造、金属プレス加工、溶接、めっきなど)、産業機械製造業、電気・電子情報関連産業、建設、造船、自動車整備、航空、宿泊、農業、漁業、飲食料品製造、外食業など、18歳以上、学歴は求めない
異文化コミュニケーション
文化
文化:共通の生活を組織するもの。
ー学習するもの
ー伝承するもの
ー普段意識しないもの
ー集団の成員によって共有されるもの
分類1(ブルックス)
高等文化(BigC) 芸術、科学技術、文学、思想など
一般文化(SmallC) 日常生活など
分類2
物質的文化(目に見える文化)言葉、文学、舞踊、絵画、料理など
観念的文化(目に見えない文化)親子関係、職業観、結婚観、時間間隔など
分類3 文化の3層構造
1.物質文化層:衣食住などの生活必需品全般
2.行動文化層:言語活動、非言語活動
3.精神文化層:認知活動(近く認知、思考、記憶、価値観、世界観)、情意活動(感情、興味関心、動機)
分類4:文化の島(カーター)
1.意識レベル(島の↑):建築、衣服、食べ物など
2.無意識レベル(海の中):ものの見方、考え方、価値観、行動規範など
3.普遍的レベル(地球の部分):生命維持に必要な行動、喜怒哀楽、コミュニケーション、社会的協力、食べること、寝ること、服を着ることなど
分類5
1.支配文化(トータルカルチャー):社会の主流、代表文化、典型的とみられる文化
2.下位文化(サブカルチャー):支配文化とは区別されるが関係がある文化
見えない文化
Mタイム(モノクロニックな時間):スケジュール重視、物事を一つずつ片付ける
時間を使う、蓄える、浪費するなど、時間の約束、スケジュール管理が神聖なものとして厳守される
Pタイム(ポリクロニックな時間):約束、締め切りはあくまで努力目標で縛られない
コミュニケーション
一定のコンテキストにおいて、メッセージの授受により、人間が相互に影響しあう過程
コミュニケーションは常に双方に同時に起こっている
意味を決定するのは受けての解釈(価値観)による
コミュニケーション能力
ストラテジー能力
回避、話題転換、パッシング、パラフレーズ、借用、身振り言語、リペア
コミュニケーションのスタイル
高コンテキスト:状況から得られる多くの情報+少しの言語情報
低コンテキスト:状況から得られる少しの情報+多くの言語情報
非言語コミュニケーション
身体動作、空間の取り方、声の出し方、人工物、(パラ言語)
異文化コミュニケーションの入口
パラダイムシフト
カルチュアルアウェアネス
異文化理解の障害
思い込み、ステレオタイプ、先入観、差別、期待
異文化への態度
自文化中心主義、文化相対主義、
異文化適応
同化、文化変容
異文化を理解するための取るべき態度
エポケー、エンパシー、アサーティブコミュニケーション
カルチャーショック
ハネムーン期、ショック期
カルチャーショック:異文化と衝突したときに受けるショック
リエントリーショック:異文化から帰国したときに自文化への再適応の過程でおこるショック
異文化適応曲線
U字曲線、W字曲線
アドラー:異文化との接触(初期ショック)、自己崩壊(移行期ショック)、自己再統合、自立(安定期)、独立
外国語教授法
アプローチ
オーラルアプローチ(口頭でのやりとり)
コミュニカティブアプローチ(コミュニケーション)
コンプリヘンションアプローチ(理解、インプット)
メソッド
ナチュラルメソッド
ベルリッツメソッド
テクニック
パターンプラクティス
発音指導
語彙導入で体の動きを併用する
学習目標を理解させる方法の用語
帰納的学習法:多くの実例に接してから、そのルールを発見させる学習法
演たく的学習法:ルールを説明してから実例を学習させる方法
暗示的教授法
明示的教授法
外国語教授法の歴史
文法訳読法(古典解読)–>ナチュラルアプローチ –> 直接法(口頭能力、会話重視)オーラルアプローチ、GDM –> ASTP–> AL オーディオリンガルメソッド(構造語学、行動心理学をよりどころに習慣形成)–> コミュニカティブアプローチ
文法訳読法(古典解読)
- 媒介語を使って、文法や語彙を説明し、目標言語を媒介語に翻訳することで教える。
- ヨーロッパで伝統的にラテン語教育において用いられた教授法
- 読解力の養成、音声面が身につかない
- 読む、書く重視
- 文法規則や語形を演たく的に指導
音声中心、実用目的の教授法(19世紀後半ー)
ナチュラルメソッド
会話重視
幼児の自然な言語習得を真似る
- グアンメソッド(サイコロジカルメソッド)
- 日本では山口喜一郎が台湾や朝鮮半島や満州の日本語教育で採用
- 話せるようになる
- 一連の動作を順番に提示指導
- 練習に動作を取り入れる点が幼稚に見える
- ベルリッツメソッド
- 翻訳を排除し、語彙や文法の意味理解を絵カード、レアリア、例文などを促す形で導入し口頭練習を重視。
- 帰納的指導
- 母語習得順に学習。
- 訓練を受けたネイティブスピーカーが教師となることを指導原則とする
- フォネティックメソッド
- 音声、発音指導を重視
- 初期は文字を使用せず、発音記号で指導
直接法(20世紀ー)
- ナチュラルメソッドと、フォネティックメソッドなどの発展形
- 聞く、話し言葉重視、音声言語からの指導
- 文法、語彙の文脈からの帰納的提示
- 会話ができるようになる
オーラルアプローチ
- 文法を文型という形でとらえた指導+場面と視覚的効果による導入
- 口頭で繰り返し練習
- 代表例:オーラルメソッド(パーマー)1920年ー
- 理論だてておこなう
- PPP(Presentation, Practice, Production)
- 長沼直兄による日本への紹介
GDM(Graded Direct Method)
- 媒介語を使わず、直接法で
- カンタンから難しいへ段階的に
- ゲシュタルト心理学を背景に開発された
アーミーメソッド (ASTP)–> オーディオリンガルメソッド (20世紀中盤)
ASTP (Army Specialized Training Program)
- 構造言語学、行動心理学
- 習慣形成による学習
- 自動的に言えるようになるまで基本文を徹底的に暗記
- 形式重視
オーディオリンガルメソッド(AL法)(Focus On Forms)
- フリーズによって提唱
- 正確さの重視、習慣形成重視、繰り返し
- 会話力を見につける
- パターンプラクティス
- ミム、メム練習(反復補習)
- 教師がキューを出すので教師主導
- 行動主義
- 構造言語学による言語分析
- 行動心理学による習慣形成
- 機能重視、練習が単調、過度の緊張感
- 代入、拡大、変形、結合、完成、問答
コミュニケーションにつながる教授法(1970年代)
コミュニカティブアプローチ(Focus On Meaning)
- コミュニケーション重視
- 学習者のニーズ
- 言語機能理論
- 正確さより意味の伝達と発話の流暢さを目標
- LL使用
- 生教材(レアリア)
- 情報差、選択権、反応
- インフォメーションギャップ、ロールプレイ、ディスカッション、プロジェクトワーク
- 教師は学習者の必要な日本語を把握し、その場面、やり取りの練習を促す
- カナルとスウエイン
タスク中心の教授法(TBLT)
- ロングのFonF
- 意味と形
- 課題遂行能力
- 流暢さと正確さは扱えるが、言語を体系的に学習しにくい
ナチュラルアプローチ
- テレルがクラッシェンの第二言語習得理論仮説を応用して開発
- クラッシェン第二言語習得の5つの仮説
- 習得ー学習仮説
- 自然順序仮説
- モニター仮説
- インプット仮説 i + 1
- 情意フィルター仮説
- クラッシェン第二言語習得の5つの仮説
- 聴解を優先にしたコミュニケーション能力向上を目的にする
- i + 1
- 教師の発話が多くなりがち
ヒューマニスティックな教授法
サイレントウエイ
- ガッティーニョ
- 教師はできるだけ沈黙、学習者の気付き
- 教師の行為から推測して自発的に発話、能動的に語彙意味を理解
- 教師は学習者に主体的に考えさせる「認知主義」
- 発音導入にカラーチャート使用、ロッド使用
コミュニティランゲージラーニング(CLL)
- カラン
- カウンセリングの理論
- 教師はカウンセラー、学習者はクライアント、クラスはコミュニティ
- コミュニティと契約
- 内省するため会話内容は録音する
- 自由な会話を教師が媒介語を使って支援
TPR(Total Physical Response)
- アッシャー
- ジェスチャーを中心とした身体運動を用いて聴解力を養成
- 学習者は沈黙期が確保されている。発話は強制されない。
サジェストペディア
- ロザノフ
- クラッシック音楽を使用(潜在意識に働きかける)
- パッシブ、アクティブコンサート
ピアラーニング
- 協働学習(スキャフォールディング「足場掛け」)
- 学習者同士で目的をもって活動
- 教師は活動がうまくいくように支援「構成主義」