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アクサ生命を調べてみた

投稿日:2019年5月27日 更新日:

保険業界の現状

まずは俯瞰で業界を見てみよう。862兆円の市場規模に40社程度がうずめき合い日本人に向けて保険を売っている。

そう言えば、保険って難しいよね。何を基準に決めるべきか、そもそも保険に入る必要があるのかとか。最近は保険に希薄になっている若者も多い。

40社も保険会社があるなんて、まさに玉石混交。

国内:かんぽ生命、T&Dホールディングス、第一生命グループ、富国生命、日本生命

外資系:アクサ、プルデンシャルファイナンシャル、メットライフ、アフラック、マニュライフ、エヌエヌ生命、チューリッヒ生命

ネット:損保、三井住友あいおい、オリックス、ライフネット生命など

アクサ生命概要

さて、アクサ生命とは、

  • 1994年に設立されたAXAのメンバーカンパニー。
  • なんとフランスの会社
  • 2017年実績:
    • 保険料収入 5966億円 
    • 個人年金保険契約件数 456万件
    • 従業員 7,855人
    • 総資産 7兆1,713億円
    • 当期純利益 286億円
    • ソルベンジーマージン比率 780%
    • 保険契約高 19兆円
  • 死亡保障や医療・がん保障、年金、資産形成などを、多様な販売チャネルを接点に展開。
  • お客様が自信をもってより良い人生を送れるように寄り添うパートナー

AXA:

  • 世界64ヶ国で16万人の従業員を擁し、1億500万人の顧客にサービスを提供する、保険および資産運用分野の世界的なリーディングカンパニー。
  • 売上=985億ユーロ、アンダーライング・アーニングス(基本利益)=60億ユーロ、2017年12月31日時点における運用資産総額=1兆4,390億ユーロ
  • AXAバリュー(顧客第一、勇気、誠実、ひとつのチーム)
  • Payer to Partner

強み

品質・幅広さ・価格の各面で卓越した商品力
グローバルブランドとしての規模や知名度
ライフプランのエキスパートとして築き上げた信頼

強みの部分が正直、差別化としては強くはない。

アクサ生命の営業

営業アプローチ方法

個人のお客さま:夢や目標をお伺いし、それを実現するためのライフプランをご提案。
法人のお客さま:「健康経営」をキーワードに会社と社員の心と身体、お金の健康についてご提案します。

個人向け営業
結婚、マイホーム購入、セカンドライフなどお客さまの夢や将来に向けた目標をもとに、『LNAS(エルナス)』というライフプランソフトを独自開発。
一人ひとりのお客さまに最適なソリューションを数値やグラフでわかりやすくご提案。

法人向け営業

日本の企業に本格的な福利厚生制度を導入するために設立された日本団体生命が源流
現在、大企業や官公庁を中心に1700以上の企業・団体に保険をはじめとする福利厚生サービスを提供

商工会議所などと連携して「健康経営」の普及を推進
企業や個人事業主向けの提案にも力をそそぐ

アクサ生命のデジタルトランスフォーメーション

2018年9月に完了した営業支援・電子契約システム「AXA Compass」を刷新。営業担当がタブレット端末からアクセスし、ライフプランニングや保険提案などに利用するシステム。

アクサ生命とメットライフを比較してみた

https://ma-bank.net/word/64/

こう見ると、日本においてはメットライフ生命のサイズは約3倍である。一方世界全体でみるとアクサ生命は14兆円はユナイテッドヘルスの17兆円の次Top2のブランドで次に日本郵政(かんぽ)、そして9位あたりにメットライフ生命となる。

アクサ生命

売上高5,966.3億円
営業利益537.4億円
経常利益560.3億円
当期純利益286.2億円
純資産3,982.9億円
総資産7.2兆円
支払余力780.9%

メットライフ生命

売上高1.8兆円
営業利益1,324.4億円
経常利益1,103.1億円
当期純利益713.2億円
純資産4,185.3億円
総資産10.5兆円
支払余力883.6%

保険業界の未来

ここにひとつのスタディがある。

業界全体の生命保険契約高=約860兆円から、20年後には約100兆円の減少推移が見込まれると大和総研が2017年に試算をまとめている。

国内市場の縮小、低金利の継続化による運用難、顧客本位の業務運営強化(FD:フィデュ―シャリーデューティー)など、逆風プラス、技術革新、労働人口の減少などの社会構造の変化により現在の保険のビジネススタイルの未来は明るくはない。

また、損保業界全体の約5割を占めている自動車保険は、監査法人KPMGによると、40年までに6割減少するのではないかと言われている。AIを活用した自動運転車やカーシェアリングの普及で車の保有台数や事故発生率が激減するからです。

事故後の補償が事業基盤の保険業態は変革せざるを得ない。既存の保険商品での差別化が難しくなる中、各社は保険で蓄積したデータをAIで分析し、リスクを回避するサービスの提供など新ビジネスで稼ぐ企業へと変わっていく必要が急務である。

一方、比較的明るい未来を唱える考え方もある。「リスクが増大し、不確実性が増す21世紀において、すべての企業と国家は2つの大きな要求の周辺に組織されていく。それは世の中の不安から守ってほしいという『保障への要求』と世の中の不安から解放されたいという『気晴らしへの要求』であり、保険業と娯楽産業が総売上高と経常利益の観点で2大産業となる。と言うものだ。

確かに、個人的にはマズローの5段階の欲求のベースである安心、安全の欲求と自己実現の欲求を踏まえた保険サービスができれば大きな差別化要因となるだろう。

昨今のニュースでは、普通に道を歩いていて殺人されたり、あるいは危ない車の運転で引かれたりする。地震、津波だってまたいつ起こるかわからない。

ならば、それらのリスクの起こる確率をもう少し精緻にデータ化できないか?何か傾向はないのか? そこから生命保険への道は開けないのだろうか?

関連画像

保険会社の未来像として、保険会社は顧客(個人・企業)の情報を最も多くつかみ、顧客ごとにリスク細分化型の保険を提供し、顧客に保険料を支払うように要求するだけでなく、リスクを最小限にするために、『Policy(規範)』(たとえば生活習慣の改善や企業文化の改革)を策定し、顧客にその遵守と実証を強いる。さらに保険会社は顧客ごとにリスクを算定して保険料を常時調整するために、顧客の自己監視体制を利用してデータを提出するように要求し、ますます世の中の顧客データを手にするようになる。

そして、次第に地球規模の規範(食事のあり方、必要な知識、運転マナー、保身術、消費のあり方、生産のあり方、など)を強制し、地球国家の社会保障の補完役から国家を制する立場となる」

ままや個人や企業のあらゆる“行動”がデータ化され、それを解析できる技術が存在する。膨大な“行動”データを意思決定に結びつけるには、“行動”にどのようなリスクが伴い、そのリスクがどの程度の大きさかを把握する必要がある。もし保険業界がビッグデータを制し、社会の道標としての産業になれる方向に向かうなら未来は明るい。

これらの変化は、保険会社に「新たなリスクへの挑戦」と「新たな競争相手の登場による地球規模での競争激化」を突きつけ、保険会社の存在意義も変えていくだろう。クロスボーダーでレッドオーシャンとブルーオーシャンの明暗が今以上に明確になり、保険会社にチャンスと淘汰をもたらす。これにどう対処できるかが日本の保険会社が生き残れるか、さらにはグローバルにおけるリーダーになれるかのカギとなる。

予期される環境変化

マルチボーダレス

1.消費者の保険観と購買行動が変化:情緒的から経済合理性へ

2. デジタルネイティブによる消費行動のボーダレス化

3. 保険マーケットのボーダレス化=GO GLOBAL

外国人労働者の流入、外国への移住・企業の移動など、クロスボーダーでの企業・ヒトの移動が加速。

東南アジア諸国の経済台頭により、生産拠点などのビジネスの基盤が、西(欧米)から東(アジア)に移動し、それらに伴い新興国のミドルクラスが急増、必然的にカネも西から東に圧倒的にシフト。

異業間のボーダレス化:自動車業界や医療業界、優れたディストリビューターなどの異業種とアライアンスを組むことにより、バリューチェーンの統廃合が起こってくることが予想される

リスク・トランスミューテーション(変容)

ビッグデータの活用技術の進化とともに、リスク評価手法、リスク管理手法、アンダーライティングのモデルに変化

3つの機会

①「ディストリビューションの差別化」、②「データ分析・リスク予知能力」、③「グローバルガバナンス」

①ディストリビューションの差別化

保険業界では、多くの保険商品のコモディティ化テーラーメード化の二極化が今後ますます進んでいく。とりわけコモディティ化した商品を扱う保険会社が多くを占めると考えており、顧客と自社にとってベストミックスとなる「ディストリビューション」戦略の検討が求められる。実際、海外保険会社のCxOの関心は「ディストリビューション」に向かっている。

ほかの業界に比べて、保険業界では特に顧客エクスペリエンスへの対応が遅れている。顧客接点のデジタル化に関する顧客の満足度も他業界より低いという調査結果が出ており、顧客とのギャップは広がる一方である。逆にその領域において抜きんでることができれば、企業にとっては、差別化を実現するチャンスとなる。欧米ではITの投資領域はすでにデジタルからポストデジタル(モバイル、SNS、クラウド、IoT)にシフトしており、この進んでいくポストデジタルの世界では、顧客エンゲージメントモデル(注意喚起、感動、購買意欲の駆り立て、販売への動線を複数の顧客接点でシームレスに描くモデル)が必要であるが、日本の保険業界はその領域に達していない。

ディストリビューションの差別化には大きく「横方向」と「縦方向」の差別化がある。横の差別化とは、すなわちグローバル化であり、国内のレッドオーシャン化した市場から、海外に打って出るということである。

次に縦の差別化であるが、これは国内チャネルの複層化・進化を意味する。消費者にとって商品の認知、検討、購買、そしてその後の契約保全と、ステージによって自分の好きなチャネルを使い分ける「複層化」はもはや当たり前の習性となっている。ここで差別化のカギとなるのが、顧客エンゲージメントモデルとテクノロジーである。各社のターゲット顧客を複数のセグメントに分け、それぞれに対して顧客エンゲージメントモデルを構築する。さらに人間とテクノロジーを組み合わせて有効活用することで、透明性と信頼性を高めることが必要になる。

日本の保険会社もこれに対して顧客接点の高度化やデジタライゼーションなどの数々の試みを実施しているが、根本的にチャネルごとの縦割りの対応から抜け出せていない。確かに今後も、戦後から日本の保険会社を支えてきた営業職員や代理店といった属人チャネルがマジョリティを占めることに変わりはなく、利便性と日本特有のホスピタリティのバランスを保つ、もしくは進化させることで、他社と差別化を図る道もある。しかし、真の顧客中心主義を実現していくためには、他チャネルの育成に努めることが必要である。

その際には、チャネル間のコンフリクトが発生することが想定される。日本の保険会社はチャネルが軸となり戦略を練り、各チャネルがそれぞれ成長を追求するための組織設計がなされてきたため、同一組織でチャネル戦略を検討すると、おのずとチャネル間の意見対立が発生しやすいからだ。チャネル間のコンフリクトを最小限にするためには、あわせて組織戦略の見直し(ホールディングス化)なども必要となるだろう。このような対応によりポストデジタル技術をうまく利用し、顧客特性を捉えた適切なセグメンテーションを設定し、最も効果的なチャネルミックスを実現できる企業が生き残る。今まさに大きな転換期であるといえよう。

②データ分析・リスク予知能力

データ分析・リスク予知能力も重要なkey pointとなる。すでに米国では顧客から収集した情報を「攻めのリスク管理」や「営業改革」「商品開発」に活用し、成功している事例(Predictive modeling=予測モデル)が多くある。また、顧客から収集した情報に加え、オープンデータを活用したデータ分析は、今後日本でも急激に広まり、進化するとわれわれは考えている。その成功のカギは“Small start”“Act fast”にある。実際、先行する多くのケースでは、本社内のニッチな領域や小規模な海外子会社などから取り組みを開始している。プロジェクトの成否が短時間で確認できるからだ。

③グローバルガバナンス

デジタル世代に生まれた企業は、STP(Straight Through Processing)化、セルフサービス、ウェブ完結モデル、効率的な販売モデルなどがすでに低い事業費で運営できるだけでなく、データの統合が進み、ビッグデータ分析に十分な経営リソースを投入できる状態となっており、優れたリスク選択による損害率の低下に向けて動いている。

日本の仕事のやり方である「職人型ガバナンス」からグローバルプレーヤーのやり方である「ルールベースの世界」へ足を踏み出す必要がある。

縦割り組織を解消すること、今までと違うスキルセットの人材を採用・育成すること、そして、新たな機能を促進させる組織体系を整備していくことが必要となる。既成概念を打ち砕くことに抵抗しないイノベーションが生まれる企業体質、企業家精神を発揮できる人材・組織環境も重要になるだろう。欧米の保険会社に見られる、データアナリティクス本部、予測モデル分析本部、グローバルガバナンス本部、マルチディストリビューション本部などの組織を設置することも重要な検討テーマとなる。

保険会社のミッション

保険会社のミッションは、単なる企業活動だけではなく、より安全な社会の形成に貢献することになり、不確実でリスクの複雑化する時代のなかで、社会が進むべき方向性を示す道標としての役割を担っていくことになるであろう。

保険会社が「金融サービス」の域を出て、情報技術を駆使することで社会のリスク低減を実現し、その社会的ベネフィットを収益源とするソリューションプロバイダとしてのビジネスモデルを確立したとき、保険会社が世界を制する時代が来ることに期待する。

具体的には

1.電子化された診療システムのインターフェスを保険会社がつくる。

診察料が安いとか、どこの病院のベッドが空いているのかとか、そういった情報を統合する。

リアルに医師と患者をどのようにつなぐのかはローカルコミュニティが一番近くて、保険会社のリアル営業所が活躍できそう。

そもそも生命保険は、10年、20年先を見据えて買う。そんな商材は家のローンと銀行くらい? 生命保険には医療情報とかすごくパーソナルな情報が蓄積されるから、保険にいろんなものを紐付けていくことができれば、ビジネスの広がりも大きい。

2.ライフスタイルの近いセグメントがどのような傾向を示すかマーケティングデータをコミュニティで発信

たとえば、自分と同じような世代、地域などで働くサラリーマン、大学教員や会社を経営している人というのは、年収どのくらいで、子どもは何人いて、家賃はいくらで、通勤は電車なのかクルマなのか。何十万、何百万もの個人情報を持っていたら、そういうものも匿名で提供できるはず。人間は他人と比べたい欲求があるので、そこを比較できるサービスがあれば、興味を持つ人はたくさんいると思うんです。

個人情報を入れておく「お財布」をベンチャーが作り、そこをM&Aするなり、そこと提携するなりしていくのが、銀行か保険会社なんだろうなと思います。

どこの病院でも同じカルテを呼び出せるようになれば、問診票も書かなくてよくなる。決済も自動引き落としになる。病院の診察や支払いが早く安くなる。そういうのはすごくビジネスとしていけるなって思います。

生命保険がもっと健康や生活にまつわる周辺のサービスを取り込んでいけば、まだまだ便利になるし、データを集積し発展する可能性もある。生命保険会社に長期のデータ預かり人としての価値があるはず。

そこまで行けば、保険料はもしものリスクに対処するために支払うものじゃなく、健康を維持するために必要なデジタルデータの保管料と利用料を支払うという印象になってくる。それによって生命保険の価値が上がったり、コスト感も変わっていく可能性がある。

-ライフ

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